卓上カップシーラーの主要部品について:故障時の現象や対策を解説

カップシーラーは、飲料や食品業界で広く使用されている包装機械です。本記事では、カップシーラーを構成する主要な部品について、その用途、故障時の原因や対処方法を詳しく解説します。カップシーラーの部品に関する知識を深め、より効率的かつ安全な運用を目指しましょう。
尚、部品の掃除、調整、交換時には必ず電源をコンセントから抜いて下さい。
また、それぞれの作業が困難な場合にはメーカーに連絡して対処してもらいましょう。

目次

基板関係

基板はカップシーラーのセンサー値を読み取ったり、モーターなどに動作命令を出す要となる部品です。また、基板は各部品にコネクター線で接続されています。

基板故障時の現象

・電源を入れるとエラーで止まってしまう。
・1回のシール動作ごとにエラーで止まってしまう。
・数回に1回エラーが発生する。
・エラーは出ないが一連のシール動作がされない。
・午前中は調子悪いが午後には直ってしまうなど、不可解な現象が発生する。

基板故障時の対処

基板の故障やコネクター線の断線及びショートは見分けるのが難しく、最後の手段と言っても過言ではありません。他の部品の交換、掃除、調整などをしても修理できない場合の対処方法となります。

・基板を交換する。
・基板交換で直らない場合、コネクター線を交換する。

モーター関係

カップシーラーのモーターは主に3種類あります。「台車用モーター」「ヒーター用モーター」「フィルム巻取り用モーター」です。それぞれのモーターには回転を減速するためのギアヘッドが接続されています。以下、それぞれのモーター故障時の現象と対処方法を以下に記します。

台車モーター故障時の現象

台車モーターは、容器をセットすると機械内部に入りシール後排出する動作をします。
・動作時異音がする。
・途中で止まる。
・台車が出てこない。又は、入っていかない。(全く動かない)

台車モーター故障時の対処

・台車はレールに沿って動きます。このレールをグリスアップする事で異音や動きを改善します。

・ギアヘッドを交換する。
・モーターを交換する。

ヒーター用モーター故障時の現象

ヒーター用モーターは容器が機械内部に入った時に上下運動する事によりフィルムを容器にシールしカットする動作をします。
・動作時異音がする。
・途中で止まる。
・上下運動しない。(全く動かない)

ヒーター用モーター故障時の対処

・ヒーター用モーターはヒーター軸を上下させる事で動きます。
 前面パネルを開き下写真のベアリングと軸をグリスアップする事で異音や動きを改善します。

・ギアヘッドを交換する。
・モーターを交換する。

フィルム巻取り用モーター故障時の現象

フィルム巻取り用モーターはシール後、穴の空いたスクラップフィルムを巻き取る動作をします。
・動作時異音がする。
・途中で止まる。
・巻取りをしない。(全く動かない)

フィルム巻取り用モーター故障時の対処

・ギアの軸に取り付けてある歯車をグリスアップする事で異音や動きを改善します。
・ギアの軸に取り付けてある歯車のイモネジを締める。
 モーターは動いているが巻き取らない場合、イモネジが緩んでいる可能性があります。


・ギアヘッドを交換する。
・モーターを交換する。

センサー関係

カップシーラーには様々なセンサーがあります。以下、主なセンサーの故障現象と対処方法です。

ヒーター棒と温度センサー

機械内部にシールするたびに上下するヒーターモールドの中にありヒーターを温めるヒーター棒とヒーターの温度を計測する温度センサーです。 

ヒーター棒及び温度センサー故障時の現象

・温度が上がらない。
・シールするたびに温度が10℃以上上下する。
・温度表示が255℃になってしまう。

ヒーター棒及び温度センサー故障時の対処

・温度が上がらない場合や、シールのたびに10℃等上下する場合ヒーター棒の断線です。
 ヒーター棒を交換する。
・温度表示が255や00など通常ではない表示になってしまう場合、センサーの断線です。
 センサー線を交換する。

容器検知センサー

台車の下にあり、容器をセットすると検知します。検知すると台車が動きだしシール動作を開始します。
押しボタンやフットスイッチなどのマニュアル操作の場合、このセンサーは無視されます。故障時は修理までの間マニュアル操作をする事でシール可能となります。

容器検知センサー故障時の現象

・容器を入れてもシール動作を開始しない。又はシール動作を開始する時としない時がある。

容器検知センサー故障時の対処

・容器に向いているレンズを掃除します。レンズが汚れていると容器検知できない事があります。
・容器をセットする台車の内側が黒く塗られいる事があります。この黒色が剥げてしまっている場合、黒く塗ります。
・容器検知センサーにある感度調整ボリュームを調整する。または容器に向くように位置を調整する。
・容器検知センサーを交換する。

光電管センサー

絵柄付きフィルムの光電管(レジ)マークを読み取り、フィルムの巻取りを止めます。
無地フィルムの場合は下記のエンコーダーセンサーでフィルムの巻取り量を計測します。

光電管センサー故障時の現象

・レジマークを検知せずフィルムを巻取り続けてしまう。

光電管センサー故障時の対処

・レジマーク読み取り部分のレンズを掃除します。レンズが汚れているとレジマークを検知出来ない事があります。
・光電管センサーがレジマークを読み取れるように位置調整する。
・光電管センサーを交換する。

エンコーダーセンサー

無地フィルムの時にローラーの奥にある歯車を検知する事によりフィルムの巻取り量を計測します。故障時はタイマー制御設定にすると修理するまでの間シールする事が出来ます。設定方法はメーカーに連絡してください。
絵柄付きフィルムの場合は上記の光電管センサーでフィルムの巻取りを止めます。

エンコーダーセンサー故障時の現象

・設定値で巻取りが停止せず、フィルムが巻取り続けてしまう。

エンコーダーセンサー故障時の対処

・歯車をはさんでいるレンズ及び歯車を掃除します。レンズや歯車が汚れていると巻取り量を検知出来ない事があります。
・エンコーダーセンサーが歯車を読み取れるように位置調整する。
・エンコーダーセンサーを交換する。

安全カバー用近接センサー

安全カバーが動くと反応し、機械動作を停止します。動作中の場合はシール動作などをキャンセルします。
このセンサーの誤動作は事故につながる危険性がありますので、故障の際には必ず直すようにして下さい。

安全カバー用近接センサー故障時の現象

・エラー音が鳴りっぱなしになり、エラー表示のまま機械動作がしなくなる。(断線時)
・安全カバーを動かしてもエラーにならず機械動作をしてしまう(ショート時)

安全カバー用近接センサー故障時の対処

・近接センサーを交換します。
・近接センサーの線をショートすればエラーは出なくなりますが、大変危険なので早急に修理をしてください。

参考となる弊社ブログ

◎その他、様々なトラブルをまとめたブログもございます。下記「卓上カップシーラーのトラブルワースト10、原因と対策を解説します」をご参照ください。

◎日頃のメンテナンスも重要です。下記「カップシーラーのメンテナンス方法と重要性」の記事も合わせてご参照下さい。

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