カップシーラーのメンテナンス方法と重要性

カップシーラーは飲食業界で広く使用される機器ですが、その性能を最大限に活用するためには定期的なメンテナンスが不可欠です。本記事では、カップシーラーの基本的なメンテナンス方法とその重要性について詳しく解説します。

目次

カップシーラーのメンテナンス基本

日常的な清掃方法

カップシーラーの寿命を延ばすためには、日常的な清掃が欠かせません。日々の清掃手順について詳しく説明します。カップシーラーは、食品や飲料の包装に広く使用されているため、衛生面への配慮が特に重要です。清掃は、機械の故障を防ぐだけでなく、製品の品質保持にも大きく貢献します。

まず、電源をオフにし、シーラーが完全に冷めるまで待ちます。次に、シーラーの表面や内部に付着した汚れを、湿らせた布で丁寧に拭き取ります。特に、容器を置く台車部分やヒーター部分には、食品カスや油汚れが溜まりやすいので、念入りに清掃する必要があります。

清掃後は、シーラーを完全に乾燥させます。水分が残っていると、錆が発生したり、電気系統に悪影響を及ぼしたりする可能性があります。乾燥させる際は、風通しの良い場所で自然乾燥させるか、乾いた布で拭いてください。

日常的な清掃に加えて、定期的にシーラーの内部を点検することも重要です。内部にゴミや異物が溜まっていると、故障の原因となることがあります。 日常的な清掃を習慣化することで、カップシーラーの寿命を延ばし、常に清潔な状態を保つことができます。

月次メンテナンスの手順

毎月行うべきメンテナンス手順について具体的に解説します。これにより機械の故障を未然に防ぎます。カップシーラーは、精密な機械であり、定期的なメンテナンスが不可欠です。月次メンテナンスでは、日常的な清掃に加えて、以下の項目をチェックし、必要に応じて調整や清掃を行います。

1.ヒーターの温度確認

ヒーターの温度が適切に設定されているか確認します。温度が低すぎると、シールが不完全になる可能性があります。逆に、温度が高すぎると、カップが変形したり、焦げ付いたりする可能性があります。ヒーター温度の設定は、メーカーの取扱説明書に従って調整してください。

2.シール圧の確認

シール圧が弱いと、シールが剥がれやすくなります。シール圧はヒーターの周りに付いているバネの強さで決まります。バネの破損が無いか確認してください。破損している場合メーカーに連絡して交換してください。

3.シール時間の確認

シール時間が適切に設定されているか確認します。時間が短すぎると、シールが不完全になる可能性があります。逆に、長すぎると、カップが変形したり、焦げ付いたりする可能性があります。シール時間の設定は、メーカーの取扱説明書に従って調整してください。

4.駆動部の確認

駆動部に異音や振動がないか確認します。異音や振動が発生している場合は、機械の故障の前兆である可能性があります。駆動部の点検は、メーカーの取扱説明書に記載されている手順に従って行いましょう。

5.安全装置の確認

安全装置が正常に動作しているか確認します。安全装置が故障していると、機械の誤動作や事故につながる可能性があります。安全カバーや非常ボタンは実際に動作させ確認する事が重要です。

6.台車の確認

容器をセットする台車が汚れているとシール不良の原因となります。又、カット刃の入るミゾ部分に製品やネジなどが挟まるとカット刃の破損の原因となりますので取り除いてください。

容器フランジ部分を支えているシリコンゴムが破損していたり剥がれているとシール不良の原因となります。メーカーに連絡し貼りなおしてください。

7.電源コードの確認

電源コードに破損や断線がないか確認します。電源コードが破損していると、感電や火災の原因となる可能性があります。電源コードの状態が悪化している場合は、交換が必要です。

専門家による定期点検

カップシーラーは、精密な機械であり、長期間使用していると、部品の摩耗や劣化が避けられません。そのため、年に1度など定期的に専門家による点検を受けることが重要です。

トラブル防止のためのメンテナンス

よくあるトラブル事例

カップシーラーで頻繁に見られるトラブルの例を挙げ、それらの原因と対策を説明します。カップシーラーは、頻繁に使用される機械であるため、様々なトラブルが発生する可能性があります。

当ブログ「卓上カップシーラーのトラブルワースト10、原因と対策を解説します」を参照してください。

不具合発見時の対応

不具合が発生した際、どのように対処すべきかを具体的に解説します。カップシーラーで不具合が発生した場合、まず落ち着いて状況を把握することが重要です。慌てて対処すると、事態を悪化させる可能性があります。

1.安全確認

まず、安全を確認します。機械が停止していることを確認し、周囲に人がいないことを確認します。安全が確保されたら、不具合の原因を特定します。

2.不具合の原因特定

不具合の原因を特定するために、以下の項目を確認します。

【機械の動作状況】

【 異音や振動の有無】

【 警告灯の点灯状況】

【エラーメッセージの表示】

3.対応方法

不具合の原因が特定できたら、適切な対応方法を選びます。

簡単なトラブルであれば、自分で対処できる場合があります。例えば、電源コードの接続不良や、ヒーターの温度設定ミスなどは、自分で修正することができます。

専門知識が必要なトラブルや、自分で対処できないトラブルの場合は、メーカーに修理を依頼する必要があります。

4.修理依頼

メーカーに修理を依頼する場合は、以下の情報を伝えます。

【機械の型式】

【購入時期】

【発生日時】

【不具合発生の頻度や内容】

【エラーメッセージ】

5.修理完了後の確認

修理が完了したら、必ず動作確認を行います。修理後も不具合が解消されていない場合は、再度メーカーに連絡してください。 カップシーラーの不具合は、放置すると重大な事故につながる可能性があります。不具合が発生した場合は、適切な対応を迅速に行うことが重要です。

カップシーラーのパーツ管理

カップシーラーの主要なパーツとそれらをどのように管理し、交換するべきか説明します。カップシーラーは、様々なパーツで構成されています。それぞれの部品は、機械の正常な動作に重要な役割を果たしています。以下に、重要なパーツとその管理方法について説明します。また、故障や破損の可能性がある場合はメーカーに連絡してください。

ヒーター

ヒーターは、カップをシールする際に熱を加える役割を担っています。ヒーターは、消耗品であり、長期間使用していると、性能が低下したり、故障したりする可能性があります。ヒーターの管理方法としては、以下の点が重要です。

【定期的な清掃】

ヒーターの清掃は、定期的に行う必要があります。ヒーターに汚れが付着していると、熱伝導が悪くなり、シール不良の原因となります。

【温度設定の確認】

ヒーターの温度が適切に設定されているか確認します。温度が低すぎると、シールが不完全になる可能性があります。逆に、温度が高すぎると、カップが変形したり、焦げ付いたりする可能性があります。ヒーター温度の設定は、メーカーの取扱説明書に従って調整してください。

【バネやテフロン加工劣化の確認】

ヒーター用のバネに破損や変形が見られる場合は交換が必要です。又、ヒーターのテフロン加工の劣化もシール不良の原因となりますので再テフロン加工が必要です。

フィルムカット刃

フィルムカット刃は、シール後容器の大きさに沿ってフィルムをカットする役割を担っています。カット刃は消耗品で、長期間使用していると、切れ味が悪くなってきます。カット刃は非常に鋭利なので清掃や交換の際には皮手袋をするなど、十分に注意してください。

【定期的な清掃】

カット刃の清掃は、定期的に行う必要があります。カット刃に汚れが付着していると、フィルムの切れが悪くなりシール不良の原因にもなります。

【切れ味の確認】

切れ味が落ちると、フィルムの切り口がギザギザになってきたり、糸を引いたりする事があります。多少のギザギザは問題ありませんが、シールに影響が出た場合には目立てをするか交換が必要です。

台車

容器をセットする台車はシールやフィルムカットを支える大事なパーツです。破損するとシール不良の原因やカット刃の破損に繋がります。

【定期的な清掃】

容器をセットする台車が汚れているとシール不良の原因となります。又、カット刃の入るミゾ部分に食品カスやネジなど異物が挟まるとカット刃の破損の原因となりますので取り除いてください。

【シリコンゴムの確認】

シリコンゴムが破損や剥がれているとシール不良や異物混入の原因となります。メーカーに連絡し貼りなおしてください。

モーター

モーターは、シーラーの駆動源です。モーターは、機械の心臓部であり、故障すると、シーラーは動作しなくなります。モーターの管理方法としては、以下の点が重要です。

【異音や振動の確認】

モーターの異音や振動は、故障の前兆である可能性があります。異音や振動が発生した場合は、メーカーに点検してもらう必要があります。

【温度上昇の確認】

モーターの温度上昇は、負荷がかかりすぎている可能性があります。温度上昇が認められた場合は、負荷を軽減する必要があります。負荷が大きすぎる状態で使用すると、モーターが故障する可能性があります。負荷を小さくするにはチェーンやギア部などの可動部分をグリスアップする事で解消する場合があります。

各種センサー

センサーは、カップやフィルムの位置や温度などを検知する役割を担っています。センサーは、機械の動作を制御する重要な役割を果たしています。センサーの管理方法としては、以下の点が重要です。

【汚れの確認】

センサーに汚れが付着していると、正常に動作しない可能性があります。センサーは、定期的に清掃する必要があります。

【動作確認】

センサーの動作確認は、自動運転の際に一連のシール動作ができていれば問題ありませんが、たまに動作不良が発生する場合はセンサーが汚れていたり劣化している可能性があります。又、手動運転時は問題ないが自動運転をすると不具合が発生する場合はセンサー故障の可能性もあります。

各種コントローラー

コントローラーは、シーラー全体の動作を制御する役割を担っています。コントローラーは、機械の頭脳であり、故障すると、シーラーは動作しなくなります。コントローラーの管理方法としては、以下の点が重要です。

【基板】【タッチパネル画面】

基板の場合、全てのボタンが正常動作するか確認してください。ボタンが押されっぱなしになっている場合はメーカーに相談してください。タッチパネルの場合、画面に触れて正常に画面が切り替わるかなどを確認してください。

【スイッチ類】

自動/手動の切替やON/OFFの切替など全てのスイッチを動作させて確認してください。

【ボタン類】

シール開始ボタンや停止ボタンなど全てのボタンを確認してください。特に非常停止ボタンは実際に停止する事を確認する事が重要です。

安全カバー

安全カバーは、機械可動部分に手などを入れることによる怪我や事故を防ぎます。

【破損の確認】

安全カバーが破損している場合はメーカーに連絡し交換するようにしてください。

【センサーの確認】

安全カバーを外したり動かしたりすると、機械を停止させるセンサーが付いている箇所があります。

メーカーに連絡した上で十分注意し、安全カバーを外したり動かしたりし、センサーが正常に作動するか確認してください。又、メンテナンスや修理のため、一時的に取り外したりセンサーを作動させないよう信号線をバイパスした場合は必ず元の状態に戻してください。

カップシーラーのメンテナンスまとめ

ここまで紹介したメンテナンス手法とその重要性を再確認します。カップシーラーのメンテナンスは、機械の寿命を延ばし、安定した稼働を維持するために不可欠です。日常的な清掃、月次メンテナンス、専門家による定期点検など、適切なメンテナンスを行うことで、故障を未然に防ぎ、生産性を向上させることができます。

メンテナンスを怠ると、以下のリスクがあります。

【故障による生産停止】

シーラーは様々な部品が複合的に動作して初めてシール可能となります。パーツの一つでも故障してしまうと生産停止のリスクがあります。日頃から各パーツの清掃を心掛けましょう。

【修理費用】

清掃や稼働部分のグリスアップをする事などによりパーツの寿命を延ばし修理費用を抑える事ができます。

【製品品質の低下】

ヒーターやフィルムカット刃などの清掃を怠ると、製品に異物が混入したり、衛生上の問題が発生したりする可能性があります。

【安全性の低下】

非常停止ボタンの確認を怠ると思わぬ事故の原因となります。又、容器が引っかかりとっさに手を入れてしまうなど大変危険です。日頃のメンテナンスをする事により安全性を高めましょう。

メンテナンスは、コストがかかるように思えるかもしれませんが、長期的に見ると、メンテナンスを行うことで、コスト削減につながります。故障による生産停止や修理費用を削減することができます。また、製品品質の向上や安全性の向上にも貢献します。

◎弊社カップシーラーのメンテナンスやトラブルは【TEL:03-6712-7255】にご連絡頂くか、下記お問合せフォームからご連絡ください。又、下記「卓上カップシーラーのトラブルワースト10、原因と対策を解説します」も合わせてご参照下さい。

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